お客様と一緒に商品をつくる。カネシゲさんと挑戦した『鯖summer』ができるまで
- 7月10日
- 読了時間: 5分
はじめに
「商品開発」と聞くと、会議室で企画書を広げながら進めるイメージが、ある方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも商品を手に取るのは、お客さまです。
だったら、お客様と一緒につくる商品があってもいい。
そんな想いから、2026年6月14日に和歌山の鰹節専門店「カネシゲ」さんと、「かつお節屋バックヤード体験&商品開発イベント」を開催しました。
イベントから約2週間。
参加者の皆さんと考えた商品が、「鯖summer」として7月2日より店頭に並びました。
今日は、その舞台裏をお話ししたいと思います。
「だし」を知ることから始まった一日
イベントには9名の方にご参加いただきました。
まずは普段は見ることのできないバックヤードへ。
削りたてのかつお節の香りや味
削り方によるちがい
素材による味のちがい
スーパーで商品を見るだけでは分からない世界を体験していただきました。
「だしって、こんなに違うんだ」
「こんな機械で作ってるんだ」
「そんな工程があるんだ」
そんな声が自然と聞こえてきます。
大人の工場見学ですね…!私が大好きな分野です。
かつお節を削る機械には12枚の歯がついているのですが、気温や湿度に合わせて毎日角度を調整しています。(画像右)
まさに職人技…!
こういうの、本当に好き。
お客様が開発チームになる時間
今回一番の目的は、「試食イベント」ではなく
参加者の皆さん自身が開発メンバーになること。
かつお・さば・目近(宗田)・うるめの4種類のだしを飲み比べながら調合していきます。
「鯖をベースにすると食べ飽きないかも」
「途中でかつお節を足したら、風味がアップするな!」
「鯖とうるめの組み合わせが私は好み。でも商品にするなら…」
そんな意見を出し合い、一つの味にまとめていきました。
もちろん簡単ではありません。実はとても難しいのです…
私も以前カネシゲさんの別のイベントで、だしの調合にチャレンジしましたが、正解がないので可能性が無限大なのです。
「飲み比べていると違いが分からなくなる…(笑)」という声もちらほら。
でも、そういう難しさも含めて商品づくりの面白さを味わっていただけたのではないでしょうか。
何気なくスーパーに並んでいる商品一つ一つにも、このようなメーカーさんの想いと試行錯誤のストーリーが詰まっているのです。
「伝わるパッケージ」はデザインから始まらない
私が担当したのは、パッケージを作ることだけではありません。
イベントでは最初に5〜6分だけ「伝わるパッケージとは?」というミニ講座を行いました。
そこでお伝えしたのは
「デザインは飾るものではなく、伝えるもの」ということ。
店頭では、多くの人が数秒で商品を選びます。
だからこそ
「これは何の商品?」
「誰に向けたもの?」
「どんな魅力がある?」
この3つが一目で伝わることを大切にしています。
その視点を共有した上で参加者の皆さんからアイデアを集め、一緒に方向性を整理していきました。

「そうめんをごちそうに」
イベントで決まった味とコンセプトをもとに、後日デザイン制作を進めました。
今回はイベント後も活発なアイデアを出して下さり、「お客様と一緒につくる商品」という言葉が本当にピッタリな商品となりました。
参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
大人数で作るといいことは、いろんな視点を持てるということです。
商品開発では、これがとても大事!
そうやって完成したのが、2026年夏限定商品「鯖summer」です。
コンセプトは「そうめんをごちそうに」。
忙しい日のお昼ごはん。
暑くて食欲がない日。
普段は市販のそうめんだしで、さっと食べられるのがいいですね。
そんな夏の定番だからこそ、少しだけ丁寧に「だし」をとる時間を作ってみませんか。
そのひと手間で、いつものそうめんが少し特別になります。
そんな豊かな時間を届けたいという想いを込めました。
パッケージは、日本の夏を象徴するかき氷屋さんの看板をモチーフに。
店頭でも季節感が伝わり、「そうめん用のだし」であることが一目で分かるよう設計しています。
「商品をつくる」ではなく、「ブランドを育てる」
今回、私が担当したのは、
イベントの企画(商品開発パート)
ワークショップ設計(商品開発パート)
味わいチャートなどの資料づくり
パッケージ講座
ファシリテーション
パッケージデザイン制作
販促物の提案
と、一つではありませんでした。
商品は、パッケージだけでは売れません。
コンセプトがあり、体験があり、想いがあり、それらが1つにつながってはじめて「ブランド」になります。
私は、そんな流れ全体を一緒につくる伴走を大切にしています。
このイベントも「食品ブランディング」の1つのストーリーとなっていくのです。
カネシゲさんが残してくれた言葉
イベント後、ご夫婦が話してくださいました。
「初めての試みで、やってみないと分からないことだらけだった。でも、他にはないイベントができて良かった。」
「お客さんと一緒につくる商品ができて、本当にうれしい。」
この言葉を聞いて、このイベントは商品をつくっただけではなかったんだと感じました。
そして商品は作って終わりではありません。
ここからまた新しいストーリーの始まりになるのだと感じました。
参加してくださった皆さんも、つくる側の想いに触れ、商品にはストーリーがあることを知ってくださったと思います。
それ自体が、このイベントの価値だったのではないかと思います。
おわりに
私はよく、新規のお客さまからはまず「デザインをお願いしたい」とご相談をいただきます。
もちろん、それは嬉しいご依頼です。
でも、本当に力になれるのは、その前の段階かもしれません。
誰に届けたいのか
どんな想いを伝えたいのか
どんな体験を届けたいのか
そこから一緒に考えることで、デザインはもっと伝わるものになります。
今回の「鯖summer」は、お客様と一緒につくったからこそ生まれた商品です。
そして、このプロジェクトを通して改めて感じたのは、ブランドは一人でつくるものではなく、関わる人みんなで育てていくものだということでした。































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